介護職はあらゆる職種の中でも不人気職として定着しています。
しかし実際には、高齢化が急速に進むことで、介護業界へ進出する企業は増える一方です。
日本全国で介護施設やデイサービス事業所が増えていく中、それなりにスタッフが必要です。
確かに介護業界は人手不足ですが、介護職へ転職する人が増えているのも事実です。
私は介護業界20年、現在10年の現役主任ケアマネです。
今まで私の所属する法人の他、ケアマネとして他法人のスタッフとも長年関わっています。
そこでこの記事では、介護職が不人気と言われる理由についてまとめました。
不人気職と言われる介護職の理由と、本当に介護業界に入るべきではないのかについて、私の経験と考察がまとめてあります。
今から転職を考えている人、今介護業界で既に働いている人は、必ず最後まで読んでください。
介護職が不人気と言われる理由トップ5
ここでは介護職が不人気と言われる理由を大きい順にトップ5でまとめました。
1.仕事が大変な割に給料が低い世間の情報
介護職は年収が低く、仕事がキツイとよく聞きます。
確かに大手企業の会社員よりは年収は低いです。
しかし生活できないほどの年収では無いのは確かです。
実際に、介護職員の男性で、専業主婦の妻と子供2人を養っている人もいます。
また最近は夫婦2人が共に正社員で働いている家庭が多いです。
所属する法人にもよりますが、介護職員から様々な資格を取得して、手当や昇給も見込めます。
介護業界で通用する有資格者は、転職もスムーズにできる利点もあります。
介護職の収入が低いのではなく、介護の仕事が嫌いな人が給料が低いと感じているのです。
2.人手不足で休みが取りにくいと言う印象
介護業界は常に、全ての職場と言ってもいい程人手不足です。
介護施設では、人員基準が定められていますが、その人数は最低限の人数です。
職場により、またその日により、人手に余裕が無いことが多いです。
そのため急に体調不良で休む時にも、その場のスタッフの負担は大きくなります。
しかしそのような事は、何の現場で働いていても同じです。
アルバイト定員でも、お店は必要以上の人員を配置していません。
急な休みはどこの職場でも困るのです。
介護現場は交代勤務が殆どで、毎月のシフトに希望休を3,4日取れる職場が多いです。
3.人の排泄物に触れる汚い仕事に感じる
介護と言うとおむつ交換や汚物処理の仕事があります。
トイレでの排泄が出来なくなった利用者は、ベッド上でおむつ交換をする必要があります。
そのため、重度の利用者が入所する施設では、おむつ交換は避けて通れない業務です。
介護士になって初めのころは、排泄物の匂いやおむつ交換の業務が苦痛になる人も多いです。
業務を続けるうちに慣れて、当初ほどの辛さは無くなる人が殆どです。
その逆に、おむつ交換の辛さを乗り越えるのがどうしても無理な人も実際にいます。
そのために、排泄物に触れる仕事の辛さから、介護職を選ばない人がいるのも現実です。
しかし重度の入所施設以外の職場では、おむつ交換が無い仕事も多いです。
デイサービスや、比較的元気な人が入居する施設のスタッフがそうです。
毎日のおむつ交換はもちろん、トイレ動作が自立できる利用者が多いです。
4.人の死が身近な暗い仕事と感じる
病院や介護施設で働くと、直面する事が増えます。
介護職を選ぶ時に理解していてほしいのは、介護は人の老いに寄り添う仕事だという事です。
特に病院の介護助手や特別養護老人ホームで働くと、利用者の最期に立ち会うこともあります。
デイサービスやヘルパーの業務は、直面する事こそ殆どないですが、必ず人は最期を迎えます。
介護業界に居続けるという事は、幸せな老後が過ごせるようお手伝いするという事です。
5.他人の家族関係の悪さが見える仕事
人生はひとそれぞれ、育った環境も、家庭関係も、性格も一人として全く同じ人はいません。
私は介護業界で20年過ごし、人の価値観や考え方が、人の数ほどあると知りました。
兄弟や子供や孫、近所の人までと、誰からも大事にされ、暖かい関係性が築けている人がいます。
反対に、兄弟とも子供とも疎遠で、友人も近所付き合いも無い人もいます。
若い頃は誰の助けも借りず生活できますが、いつか必ず人の助けが必要になります。
介護業界で仕事をすると、一人一人の家族関係が聞かなくても分かるようになります。
どんな家族関係であっても、これまでの長い年月で形成されたものだと受け止めましょう。
仕事内容が魅力で働く人はいない現実
仕事を探すときには、募集している求人から選択するのが通常です。
殆どの求職者に共通しているのは、仕事を選ぶ時の一番に『仕事内容の魅力』は挙がりません。
好きな事を仕事にしたら辛い事もある
介護職に限らず、仕事内容だけが魅力で職を選ぶ人はほとんどいません。
プロスポーツ選手や音楽家であっても、芽が出て収入が安定しなければ続けられません。
芸能人や画家、作家などの芸術家も、好きなだけでは続けられないのが現実です。
専門職以外の職種では、たとえば営業マンは、人と話すことが好きなだけでは成り立ちません。
顧客を持ち、新規顧客を獲得する、営業力と精神力がある人のみが続けられます。
営業職は自分の営業成績に応じた給料が得られる、やりがいのある仕事です。
しかし営業成績が全く上がらないまま、営業職で会社に存続する事は辛いだけです。
好きな事を見つけて、それを仕事に生活が成り立つ人は幸せですが、かなり困難です。
好きな仕事に就いている人のほとんどが、就いてから好きになっているのです。
魅力ある仕事は、魅力ある職場にしかない
仕事をする上で避けて通れない人間関係。
仕事を楽しいと思って働いている人の一番の理由は、職場環境が魅力だからです。
環境とは、人間関係だけではなく、休日や給料、設備など全てが含まれます。
例えば介護職を人に勧められるときに、どちらが魅力的かを想像してみましょう。
1.介護は人の役に立つ素晴らしい仕事です。
介護職はこれからも増え続ける業種なので、仕事が無くなる事もありません。
人に接する事が好きな人はぜひ介護職へ!
2.私の施設にはお局のパワハラ上司はいません。
協力し合えるスタッフだけなので、残業や休日出勤もなく、勤務交代も確実にできます。
家庭と仕事の両立にストレスが無く、スタッフの働きやすさを一番に優先しています。
別パターンで同じ介護業界のから誘われた時に、どちらに魅力を感じるかは明白です。
介護職に転職や退職者が多いのは、職種の問題ではなく、職場環境が悪いからです。
人気が無くても介護職を勧める理由は2つ
介護職に入ってくる人も多いですが、離れていく人も同じくらい多いと言われます。
しかし全国的には介護業界へ参入する企業や、会社員から法人を設立する人も多いです。
介護職が人手不足なのは確かですが、働く場所が多い分、介護職員も人数的には増加しています。
私は介護職は人気のない職種だと分かっうえでも、あえて介護職を選択しています。
私が介護職を勧める理由は2つです。
- 介護職は全国で無くてはならない、衰退しない職種だから
- 介護職の収入はそんなに悪くない現状だから
介護職は人気が無い職種ですが、どうしてもしたい仕事が無いのなら、介護を選ぶべきです。
介護職は全国で無くてはならない、衰退しない職種
日本人の平均寿命は年々高くなり、実際に健康寿命も延びています。
しかしながら人は必ず歳をとるため、日本の高齢化はこれからもどんどん進行します。
介護職は高齢者が存在する限り必要な職種です。
社会がどんなに変化しても、介護職が全てロボットで完結する時代にはなりません。
介護業界の今後は衰退していくことは無く、無くてはならない業種です。
介護業界にいる限り、仕事が無くなる事はありません。
介護職の収入はそんなに悪くない現状
介護職に人気が無い理由に、低収入が挙げられます。
しかし介護職の収入は、実はそんなに悪くないのです。
年収200万円台の人も多い中、介護業界はそこまで悪くはないです。
また社会福祉法人や医療法人と言った基盤の職場で働けるため、経営状態も安定しています。
人手不足の中働いているスタッフは、廃業しない限り、リストラになる事もありません。
更に、職場を辞めたくなった時にも、転職先はいくらでも見つかります。
この記事のまとめ
介護職が不人気な理由について、トップ5をまとめました。
介護職は大変な仕事内容の割には給料が低く、常に人手で休みが取りにくいうえに、人の死が身近な暗い仕事と思われがちです。
しかし介護職のスタッフは、人が生きていく限り必ず行く道を見ているだけです。
実際に私は介護業界で20年働く過程で、より良く生きる知恵を数えきれないほど学びました。
介護職だけに限らず、仕事内容のみが魅力で働いている人は思ったより少ないです。
仕事内容ではなく、職場環境が良ければ、人は仕事を続けられます。
介護職が不人気な理由も、介護の仕事内容ではなく、勤める職場環境の問題です。
何の仕事に就こうかと迷っている人にとって、介護職は経験してみる価値のある仕事です。